JASVブログ第272回

皆様こんにちは、(株)ピグレッツの平石です。


暑い夏が過ぎて、過ごしやすい日々となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。私自身も最近ようやく夏バテから解放されるようなったと思います。


 今年の夏は私の住んでいる東日本も平均気温が平年比+1.7℃となり気象庁の発表によると、1946年の統計開始以降東日本において最も暑かった夏とのことでした。


 今年の夏は例年以上の猛暑とのことで、クーリングパッドやドリップクーラー、送風ダクトで対応しても種付けストールの母豚の食欲不振や死亡、肥育豚の出荷遅れなど多くの問題が認められたように思います。猛暑が過ぎ、上記の問題も徐々に少なくなると思いますが、今年の教訓を活かし今後起こり得るであろう異常気象に対して、少しでも豚が快適だと思える環境を作る努力をしたいと思います。


 また、9月には岐阜県の養豚場において、清浄国である日本で26年ぶりとなる豚コレラの発生が認められました。9月28日には搬出制限区域が、10月9日には移動制限区域の解除が実施されましたが、豚コレラの日本への侵入経路は未だ解明されていません。そこで、早急な豚コレラの侵入経路等の原因解明を願うと共に、引き続き千葉県においても飼養衛生管理の徹底や早期摘発のための監視の強化に万全を尽くしていきたいと思います。


終わりに、今回の豚コレラで被害に遭われた農家の皆様ならびに関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

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JASVブログ第271回

 こんにちは、あかばね動物クリニックの水上です。


 西日本豪雨から約1カ月経ちました。この災害では中四国、九州および北陸の広い範囲で多大な被害が発生し、多くの犠牲をだしました。この豪雨は激甚災害として認定されました。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

 その後、本州を中心とした連日の猛暑日が続いています。例年より梅雨明けが著しく早く、それにより夏がさらに長引くと推察されます。熱中症で救急搬送された方も多数見えます。農場現場での作業は涼しいところとは限りません。十分な休息とこまめに水分補給をして、無理をしすぎないようにしましょう。


 さて、7月20日に日本養豚開業獣医師協会の活動報告会および記念講演が開催されました。今回の記念公演は広島大学の島田先生による「精子運動性の基礎研究から繁殖技術の開発」。題名の通り、人工授精に深くかかわる内容でした。

研究と言うと現場とは程遠く、対極にあるように感じることさえあります。ですが臨床現場で用いられている技術の多くは、基礎研究の積み重ねから生まれてきたものが多いことも事実です。今回発表された内容は現場に即したものでした。

お話の中には精子の運動性について新しい知見が多数含まれていました。私の中で特に印象に残ったこととしては、精漿に含まれている様々な物質の量によってその後の精子活性に大きな影響を与えるということです。過去の検査では一つの物質を1回ずつ分析しなければならなかったものが、現在では複数の物質を同時に高感度で分析できるようになってきています。

私も大学生の頃、卒業論文のために実験をしていました。過去の研究や現場から結果は推測出来ても、最終的な結果は分らないのが研究です。時間と労力を必要とする実験を繰り返さないとその結果も導き出せません。大学や民間の研究者の方々は、卒業論文とは比べられないほどの、複雑かつ綿密な研究によって新たな技術や商品の開発に寄与しています。

日本の科学研究が失速していると多方面から言われています。それでも養豚の現場的な研究をされている方々は周りに何人もいらっしゃいます。そこから得られた知見が現場で使われるかどうかは、最終的には現場での判断になります。またフィードバックすることで、研究が次のステップへ向かいます。より現場的な技術を求めるのであれば、現場の声を研究および開発へ伝える、意見のキャッチボールをしていきましょう。

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JASVブログ第270回

皆様こんにちは、イデアス・スワインクリニックの早川です。

私がこのブログを前回更新したのは去年の大晦日でした。それから既に半年が過ぎ、一年の折り返し地点を迎えてしまいました。毎度のことながら時の速さにびっくりです。


あっという間に季節が移ろっていく間、大変貴重な体験をしました。過日(今年5月)のことになりますが、イリノイ大学PRRS特別講座と題したJim Lowe先生のワークショップに参加する機会を頂いたのです。と言っても、イリノイまで出かけたのではなく、会場は東京で、このブログの執筆メンバーである若手の先生方をはじめ、国内で様々な立場から養豚に携わる獣医師30余名の1人としての参加でした。

3日間でPRRS対策を学ぶということで、どんなカリキュラムになるのか初めは見当もつきませんでした。始まってみると、これまで自分が学校で学んできたこと、実践経験で意識的あるいは無意識に身に着けてきた全てが、鮮やかに分子のレベルにまでに分解され組み直され、新たに有機的なシステムに体系付けられていくことに衝撃を受けました。


Jim先生は、第一講義「動物衛生学におけるエンジニアリングベースアプローチの適用」で、いきなり獣医師の仕事はシステムエンジニアである、と説かれました。養豚管理獣医師は、養豚場というシステムを理解し、システムがどうしたらうまく機能するのかを明らかにし実践することが仕事である、というのです。

確かに自分が行ってきたのはその通りのことなのですが、自分はSEであると発想したことはありませんでした。実は私の弟はシステムエンジニアであり、仕事の話を聞くと非常に面白く、似ている点があるとは思ってきました。それでも、コンピューターと養豚場(あるいは豚という生物)、両者は全く異なるものだと思ってきました。しかし、実は両者は同じものであり、このトポロジーの原則は「対象をシステムとして捉える」ことに他ならなかったのです。

この考え方で重要なのは、生じてくる事象そのものに注目するのではなく、事象と事象の関係性に目を向けることにあります。近年、医学の領域でもこの考え方のもとに健康や病気が捉え直され、新たな治療アプローチが生み出されています。

今回のお話を聞いて、これまで無意識に、また不完全に使ってきた思考法でしたが、これからは私も意識的に活用して問題解決に役立てようと思いました。


研修では、Jim先生の講義の他、グループワークも用意されており、グループごとに実践的な課題を与えられました。

私のグループは、たまたま若手の養豚管理獣医師ばかりが集まり、wean-to-finish型の農場における高い離乳後事故率を改善するという課題に取り組みました。みんなで様々な考えを出し合い、一つの案にまとめていく作業は大変面白く、刺激的で勉強になりました。


グループワークに限らず、3日間の充実したプログラムを通じて、これまでの枠組みを超えた一種の連帯感を参加者全体で感じることができたのは、何にも勝る財産となりました。

企画・運営の皆様、Jim先生に心より感謝いたします。

この体験を業界に還元できるよう頑張りたいと思います。

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グループワークの様子


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修了証書授与式後、皆さんで

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JASVブログ第269回

みなさんこんにちは!()サミットベテリナリーサービスの渡部 佑悟です!


この度611日から614日まで開催された、国際養豚獣医学会(IPVS)に参加する機会を頂きましたので、今回は、簡単な報告とさせていただきたいと思います。

今回のIPVSは中国の重慶で開催されました。重慶は中国の主な都市の一つであり、市内総生産額は中国の都市でも5位の工業都市です。市内の総人口も3022万人おり、驚きました。気候は盆地であるが故に夏は酷暑となり、7月の平均気温は28.3℃に達し、湿度も高く非常に蒸し暑い気候になります。そのため長江流域の武漢、南京と並んで「三大火炉」と呼ばれているそうです。年中曇りや雨の日が多く、中国で最も日照時間が少ない都市の一つです。

今回の学会では世界中で今話題になっている議題について発表がありました。多くの発表があり、そのすべてを紹介することは出来ないのですが、ここでは最近新しく発見されたウイルスであるPCV3について少し触れてみたいと思います。PCV3はアメリカで2016年に初めて見つけられたウイルスです。それ以降の検査により、ブラジル、中国、ポーランドなど、様々な国でもウイルスが検出されています。さらに過去の血液検体を遡って検査してみると、過去の検体でもPCV3が検出されており、この病原体が突然地球上に現れてきたわけではなく、何年も前から存在していたということが分かってきています。しかしその病態については現在も調査中であり、PCV3が豚に与える病態というものは詳しく分かっていません。そもそも、PCV3に病原性があるのかどうかですらも、まだ確実なことが分かっていないのが現状です。今後さらに研究分野や臨床分野でさらに知見が集まってくることを期待するばかりです。 

さて、今回の学会で僕が一番思い出に残った出来事としては、初めて口頭発表したことです。海外の学会なので、英語を使ったプレゼンテーションをすることになったのですが、なんとか無事に終えることが出来ました。僕が発表した内容はP-JETチームで作成したBioAsseTについてでした。(BioAsseTの詳細についてはhttp://site-pjet.com/参照) BioAsseTのコンセプトや結果の見方について説明をしました。発表後に聴衆から質問があったり、終了後にあいさつに来てくれた方がいたりするなど、発表したことは有意義でした。今後は今回の経験をさらに現場にも役立てられるようにしていきたいと思います。プレゼンに協力していただいた方々や、発表を勧めてくれたP-JETメンバーの皆様方にこの場を借りてお礼申し上げます。


(有)サミットベテリナリーサービス

渡部 佑悟

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JASVブログ第268回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


今年がスタートして5カ月が過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

弊社、㈲サミットベテリナリーサービスには、4月に獣医師の新入社員くんが入社しました。4月から半年間は農場研修中なので、まだ会う機会は少ないのですが、ついに私も先輩になるときがやってまいりました(^-^;) 半年後が楽しみです!


話は変わり、今回はJGAPについてお話ししようかと思います。

先日、58日~9日の2日間で、JGAP指導員基礎研修に参加して来ました。


JGAPといえば、2020年の東京オリンピックとパラリンピックで自分たちの豚肉を提供するためには・・?ということで話題になってきました。


今回の研修では、JGAPの基礎的な概要から、実際に審査に必要な書類などについて学びました。

まず、皆さんも気になるオリンピックについてですが、20173月に正式に、東京オリンピックとパラリンピックにおける畜産物の調達基準として、

・食材の安全の確保

・環境保全に配慮した畜産物生産活動の確保

・作業者の労働安全の確保

・快適性に配慮した家畜の飼養管理

4項目を満たしていることを示す方法のひとつとしてJGAPが示されました。


そもそもGAPとは、「Good Agricultural Practice」の略で、「良い農場のやり方」ということです。


JGAPは、食の安全や環境保全などに取り組む農場に与えられる日本のGAP認証制度のことになります。一般財団法人日本GAP協会がスキームオーナーとして認証制度の開発・運営を行っています。


これまで、私たちにとって身近な認証制度といえば、農場HACCPでした。農場HACCPは、豚(原料)の製造・出荷までのすべての生産工程において、あらかじめ起こり得る危害(生物的、化学的、物理的)を未然に防ぐために、管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うシステム認証のことです。


JGAPは、農場HACCPとは異なり、システム認証ではなく、製品認証です。

農場管理、食品安全、家畜衛生、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの視点から適切な生産工程管理のあり方を定めたものです。


管理項目については、農場HACCPと重なっている部分も多く、HACCPで足りない部分をJGAPが補っています。そのため、農場HACCP認証を取得されている農場がJGAP認証を受けたい場合は、差分審査というものも受けることが可能になっています。

JGAP認証のために、新たに取り組む必要があるのは、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの部分になります。


研修の中で、驚いたことがありました。2012年のロンドンオリンピックでは、食材調達基準として、レッドトラクター認証が用いられていました。レッドトラクターは、イギリスの農業者団体が運営するGAP認証制度であり、イギリス国内の農業者の7095%が加盟しており、農畜産物の80%以上をカバーしているとのことでした。つまり、GAP認証は、製品の差別化を目的に取得しているわけではなく、GAP認証を取得することが当たり前になっているという事実でした。オリンピック・パラリンピックだけを目標にするわけではなく、農産物の安全性を第三者認証を活用して担保していくことが、今後求められていくのだなと感じました。



私が2週間に1回訪問させていただいている農場では、毎回豪華なランチをご馳走になっています。

農場の豚肉と、とれたての野菜をふんだんに使った食事でいつもいつも感謝の気持ちでいっぱいです!2018-1.JPG

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JASVブログ第267回

㈱バリューファーム・コンサルティングの大久保光晴です。

暖かくなり、体を動かしたくなるシーズンなってきましたが、皆さまは如何お過ごしでしょうか?

東京オリンピックが近づいてきた影響か、最近は車の運転中にランニングをしている方を良く見かけるような気がします。

今回は春における豚舎の環境コントールについて、考えてみたいと思います。

この時期、特にウィンドレス豚舎の離乳舎の換気でお悩みの方が多いのではないでしょうか?


既に養豚に関わり、ウィンドレス豚舎の管理を任されている方には釈迦に説法ですが、豚舎の環境コントールは重要な要素が多く、温度はもちろん、湿度や豚舎内の換気量も重要です。さらにアンモニアやCO2も大切ですし、豚舎内に空気を送るインレットや空気を撹拌するミキシングファンの吹き出し風速も計測し、把握しておきたいですね。

要素がたくさんある中で、日較差が大きく、空気が乾燥している春は、湿度に注目することをお勧めします。目標は50~70%です。


表1は、1983年ミッドウエストプランサービス、アイオワ州立大学他による発育ステージごとの寒冷時・温暖時・暑熱時における必要換気量、グラフ1は、気象庁のホームページで見られる、私が良く行く地域の気温データです。

皆さんも普段色々な指標やデータを使って、豚舎の環境コントールに注力されていると思いますが、春の日中急上昇した外気温に合わせてファンが強く回ったところ、外気温に対する換気量はそれほど間違っていないのに、なぜか豚が寒がった経験はありませんか?


その黒幕が湿度です(もちろん、入気風速が強いため豚に風が当たること、隙間風や床の素材による影響も考えなければいけませんが...)。湿度が低いので、同じ温度であっても体感温度が低いと言うわけです。

そして、春は四季の中で1日の最低気温と最高気温の差(日較差)が大きく、湿度も低いので、夜間の換気量も維持するために設定温度を下げていると、この現象が起きやすいのです。


このことから、鋭い管理者の方は、夜間の換気不足に注意して、日令の経過と共にファンの設定温度を下げつつ、日中急上昇した外気温には、設定温度を一時的に上げて対応されたりします(ファンのHzが可変する場合、温度幅を広げることもあります)。でも、最後は豚が答えを出しますね。


この時期は本当に日較差が大きく、豚舎内の環境コントールに悩みますが、皆さんの一助となれば幸いです。臨機応変に対応し、この難しい時期を乗り切りましょう!


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JASVブログ第266回

こんにちは。豊浦獣医科クリニック(TVC)田村です。


こちら神奈川ではかなり春を感じる陽気になり、先日桜の花びらが道路に散っているのを見て途端に「嗚呼、春だなあ」と実感しました。皆様のところではいかがでしょうか?

(止まらないくしゃみや目のかゆみで実感した方も多いのでは?)


3月には例年弊社主催で「初級養豚研修講座」(以下初級講座)があり、今年も312日~15日に実施しましたのでその様子をお伝えしようと思います。


初級講座は養豚場の後継者、新入社員の教育、もう一度基礎から学びたい方を対象としています。社会人としてのマナーや飼養管理の基礎の講義、実際に豚を使っての実習など養豚に携わる者にとって、とても有意義な内容となっています。

 そして、この講習の最大の魅力は、何と言っても経験豊富な講師陣による講義です。全国で活躍されている養豚管理獣医師を講師に招いており、直に話を聞ける良い機会でもあります。 また合宿タイプのため、全国各地からこの講習に参加されており、受講生同士の交流も魅力のひとつです。

 この研修を終えて、講習の内容や受講生同士の情報交換の内容などを地元に持ち帰り、今後の仕事に役立てていただくことが、この講習の最大の目的です。

(弊社ホームページより抜粋)


講座内容をあたらめてご説明すると、初級と名がつく通り、豚に関わる基本的な知識や現場経験の少ない養豚初級者でもなるべくわかるよう配慮して構成しています。「解剖学」「呼吸器病」「消化器病」などの基本的な話から、PEDなど聞いたことのある病気名も交えて解説し、農場現場で見て感じたことと結びつくように各講師陣工夫しています。私も僭越ながら今年から「バイオセキュリティ」と「精液実習」の講座を担当させていただきました。

…余談ですが、誰にでもわかるような講義となるよう資料作りや話し方というものは思った以上に難しかったです。専門用語の乱用は控え、簡単な言葉やフレーズに言い換えるという作業を通じて自らの理解があいまいだった部分も補えたような気がします。


参加者の層ですが、例年農場の若手の方(後継者、入社0~3年目程度の従業員)のご参加が多く、今年も二十歳前後の方にたくさん参加していただきました。中には産業動物用製品のメーカーの外回りを担当される方や、地方自治体の畜産分野の部署で働かれている方も参加されており、年々参加する年齢層や所属先の多様性が増していて、普段お会いすることもじっくりとお話しすることもなかなかないメンバー同士の有意義な交流の場になっています。


…と、宣伝みたいな内容ばかりで恐縮なのですが、例年リピーターや口コミでの参加申し込みが多く、すぐに埋まってしまう傾向にあります。個人的な見解ですが、養豚業界には人材育成や「背中を見て倣え」だけでは通用しないより効率的・効果的なスキル向上が必要であり、そのための体系的な教育の需要があると考えます。我々もすべての参加希望者に対応できるわけではありませんが、少しでも多くの養豚家の皆様のお力になれればと思い続けています。今回で初級講座も第16回を迎えました。卒業生一同が活躍して笑顔で働いていければ良いなと願っております。(…と、弊社社長が申しておりましたので代筆します。)


卒業生が社長や場長クラスになっているころに私はどうしているかなあと思いつつ、次会う時に恥ずかしくないように、養豚獣医師として精進していきたいと思います。


卒業生よ、大志を抱け!また逢う日まで。


豊浦獣医科クリニック 田村美穂

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