JASVブログ 第83回

こんにちは、栃木県フォーピッグ那須の福山です。

ほんと、梅雨明けしませんね。毎日毎日蒸し暑い日が続きます・・・それでも猛暑の夏を迎えるよりは豚さんにとっては余程良いことではないでしょうか。例年よりも明らかに分娩舎の母豚の餌食いの状態も良いですし、離乳後の発情も順調(発情の再帰日数は伸びていますが)な所が多いと思います。

ただこの高温多湿なジメジメした季節が続いている影響で、豚シラミが例年よりも多くみられます。豚シラミは定期的に駆虫薬を投与していても容易に撲滅できるものではありません。そして梅雨に入ると旺盛な繁殖力を見せるようです。母豚の直腸検査をやっているときに目の前で、体長5mm程で非常に平べったいシラミが蟹のように横歩きしながら母豚の体表を滑るように歩いているのを見ると、一瞬ぞっとします。

直腸検査を行わなければいけないような、非健常豚においてシラミが多く発生する傾向があるように見えます。やはり受胎できない母豚は総合的な免疫力が低いのでしょうか?それともシラミがいるから受胎できないのでしょうか?謎です。

これだけ目に見えるシラミがいるということは、おそらく毛穴に潜む目に見えない疥癬ダニも多くいることでしょう。妊娠舎では受胎率に影響をもつかもしれないこれら外部寄生虫は分娩舎においては明らかに母豚の食欲低下の一つの原因となります。駆虫薬の定期的な投与というのは重要なことでしょう。

話は戻って早速シラミ退治のために駆虫薬を注射しました。犬や猫では皮膚にかける液体タイプの駆虫薬が主流になってきています。これだといかにも寄生虫に効くって感じがしますが、注射薬で皮膚の上を歩いている寄生虫が本当に死ぬのだろうか?なんて疑問が沸いてきます・・・よね。一応ですね私も獣医さんなので注射用の駆虫薬がどのようなメカニズムで寄生虫に効くっていうのは頭ではわかっているんですよ。そういうことで注射後3日目にその母豚を見に行ったら、シラミたちがまだ体表にいました、身動きひとつしないで。それで手で捕まえたらちゃんと死んでるじゃありませんか。やっぱり薬って効くんですね。

ちなみに豚シラミは豚だけに感染するシラミで、人の皮膚の上(腕)は滑ってすぐに落ちてしまうので人には寄生しません。でも直接シラミがヒトの髪の毛に迷入してきたときはしばらくモゾモゾするかもしれませんね。

ということで今回の締め:駆虫薬は定期的に行いましょう。定期的な投与だけでは撲滅は難しいので母豚の様子をしっかり観察して個体ごとに注射も適宜行いましょう。そして母豚へのストレスを軽くして繁殖成績アップにつなげましょう。

外部寄生虫がいないで母豚の体表にかさぶたのない白くてきれいなぴかぴかの皮膚をしている農場は、繁殖成績が悪いはずがありません。「母豚の皮膚の綺麗さ」これをひとつ母豚管理のチェックポイントとしてこれから管理されてみてはどうでしょうか。

 

P.S.栃木県でも豚屋さんの周りで牛を飼っている農家さんの方が多い地域がありますが、そこでは豚屋さんで刺し蝿をみることあります。出血するまで豚にたかっていることは少ないですが。刺し蝿に限らず豚の周りに多くの蝿がたかっているというのは衛生的にも何もいいことはないですよね。今月号の「ピッグジャーナル」に志賀先生が「オールアウトしたら殺虫剤を噴霧しましょう」て書いてありましたが、私もあれは非常に良いことだと思いました。消毒剤でウィルスを殺すよりももっと大きな衛生害虫を殺す方が先だなと思います。私がお世話になっている農家さんで殺虫剤を使用している所はありませんが、今後勧めていこうかなと思っています。

JASVブログ 第82回

こんにちは、あかクリの水上です。

西日本や関東で梅雨明けしたかと思っていたら、各地で豪雨に見舞われるという状況が続いています。今年もすんなり梅雨明けしそうにないですねicon

 

さて、雨は続くというものの気温は『夏』。この時期から問題になってくるのはハエiconです。ただし私が言うのは普通のイエバエとは違う「サシバエ」です。それは何?という方が多いと思います。それもそのはず、いろいろな地域で養豚コンサルタントをしている先生に話を聞いても、他の地域で今のところ見かけたことはないとのことです。以前から牛舎の周りで見かけていたのですが、ここ数年のうちに養豚場にも被害が出てきています。牛豚鶏が入り混じっている渥美半島ならではの現象でしょうか?

このハエの食べ物は「血」です、名前の通り動物を口についている針()で刺して血を吸います。大量にサシバエが出ているところでは母豚の背中から出血しています、これは痛いicon。さらに人も刺します、これも痛いicon

サシバエ

今のところ対策方法としては防虫ネットが一番効果的だと言われています。これには欠点もあり、換気が非常に悪くなります。オープンタイプの豚舎の場合、ネットを取り付けるだけでは夏場の温度管理(母豚の熱中症etc)が不十分になり、繁殖成績などに悪影響を及ぼしかねません。他の対策としては、ハエ取り紙、豚舎周囲の除草、殺虫剤などが考えられています。上記のように対策方法は挙げられていますが、牛舎を想定したものばかりで、豚舎を想定したものは聞いたことがありません。豚舎でも考えなければいけない問題になるかもしれません。

地球温暖化に伴って発症する病気や害虫が変わっていく可能性があります。その点から農場防疫は必要不可欠なものになっていくかと思います。

JASVブログ 第81回

バリューファームコンサルティングの奥村です。

暑中お見舞い申し上げますicon

関東地方は梅雨が明け、いよいよ夏…という本格的な暑さがやってきました。子供の頃、私はいちばん好きな季節といえば、夏でした。ジリジリとした日差し、蝉の声が聞こえるようになると、もうすぐ夏休みだ、プールだ、お祭りだ、とうれしさでいっぱいだったことを思い出します(その反動で夏の終わりは、どうやっても終わらない宿題の山を前に、いつも泣いていましたが…)。

 

さて、先週の金曜日(7/17)はJASVの活動報告会・記念講演に参加しました。記念講演は宮崎大学の末吉先生、京都府立大学の牛田先生のご講演。末吉先生といえば「大腸菌症」、牛田先生といえば「免疫」のエキスパート、どちらのテーマも私が常日頃「わからない!!」と思っていることであり、お話が聞けるのを楽しみにしていました。

 

感染症は「病原体の存在があり、それに対して免疫が低い(ない)と発症する」という単純なことで、それでは豚を健康に育てるには「病原体をできるだけ少なくして、ストレスをできるだけかけずに免疫力を高めてあげればよい」ということはわかっているのですが…。同じ環境にいても病気にかかるものとかからないものがいたり、衛生レベルの高い農場で逆に問題となる感染症があったりと、ほんとうに豚の管理は難しいです。

 

今回の講演では、お二人の先生から豚の感染症や免疫について興味深いお話が聞けたことはもちろんですが、私が印象的だったのは、専門家の先生方も壁にぶつかりながら一生懸命、問題の解明に努力されているのだということでした。

未熟者の私など、悩んで当然、いやもっと悩まなければいけないな、と痛感した次第です。

 

それでは今回はこのへんで。厳しい暑さはしばらく続きますが、皆様お体にお気をつけて。

VFC 奥村

 

JASVブログ第80回

こんにちは。野津手家畜診療所の野津手です。九州南部も梅雨明けし、やっと本格的な夏になってきましたね~。

それにしても時間が経つのは早いもので、独立してもう4ヶ月目に突入した事に驚き、そしてまたブログの順番の早さにも驚いています(笑)。

 

さて、前回の福山先生のブログにも書かれていましたが、豚の疾病には肺炎が多いです。特に、今年の6月は例年になく日格差が大きく、1日の気温差が15℃以上ある日が何日もあり、農場でも肺炎の発症が多かったです。毎月訪問させて頂いている新潟の肥育農場は、踏み込み式の開放豚舎なので、この気候の変化をモロに受けました。真夏になれば1日中暑いので、豚もその環境に慣れ順応してくるため、少しくらいの温度変化では大きく崩れることは少ないですが、夏に向かう時期や冬に向かう時期はそうはいかず、1日で状況がカラッと変わってしまいます。特に熱があるでも咳がでるでもなく、何か最近体がダルイなーと感じる日が続き、夜急に寒くなり背中がゾクッとした翌日から風邪っぽくなったご経験は皆さんあると思います。豚もこれと同じで、暑い寒いが繰り返されると、体力(免疫力)が落ちて風邪を引きやすい状態になります。開放豚舎では気温の変化に大きく左右されるため、環境コントロールが難しいですが、現場の方は翌日に掛けての温度や風、風向きなどの天気予報をインターネットで毎日確認し、それを元にコントロールされています。また、導入から2週間は寒すぎないように保温重視(真夏は少し違いますが)、肥育後半では換気重視の管理をお願いしています。ちょっとオーバーな言い方かもしれませんが、肥育後半は満員電車の中にいるようなもんですから、やはり新鮮な空気は最重要と思います。

ちなみに、インターネットでの天気予報は色々ありますが、現場ではYahooや農業気象情報を参考にしています。また気象庁ホームページでは、過去の気象データ検索ができ、HP上でグラフ化もされ便利なので、私はよく使っています。興味のある方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。

 

それでは皆さん、ごきげんよう。

野津手

 

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高千穂峡

 

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抜け殻

JASVブログ第79回

こんにちは!

サミットベテリナリーサービスの石関紗代子です。icon

 

蒸し暑い季節になってきました。

もうすでに暑熱対策が必要になってきています。準備はお済みでしょうか?icon

 

最近は特にセミナーに参加していないので、おでかけ・・・じゃなかった、勉強レポートは残念ながら書けませんicon

そこで、今回はHACCPについて書こうと思います!icon

 

HACCPについては、第54回の古市先生のブログ(2009/10/12)に詳しく書いてあるので、HACCPとは何ぞや、という人はまず古市先生の素晴らしい説明文をお読みくださいませ★

 

古市先生がしっかりとご説明して下さっているので私の方ではごく簡単に説明しますが、「HACCP」とは食品の安全性を高めるためのシステムですicon

もともとは、アメリカ航空宇宙局(NASA)で、宇宙食の安全性を確保するために開発されたのが始まりですicon

従来のような、出来上がった製品の抜き取り検査では、「安全」の証明としてはどうしても限界があります。一方のHACCPは、製品を「安全」に作るために重要な作業(例えば食品でいえば殺菌など)に的を絞って、そこを重点的にモニタリングしよう!というシステムですicon

 

私も、養豚場にHACCPを導入するお手伝いをさせていただいています。まだ認証基準が正式に発表されていないため、準備段階なのですが、何軒かの養豚場で実際にHACCP構築を少しずつ進めています。

 

今後認証基準ができて認証を取ると、「HACCP認定農場」となれるわけですが、おそらく認証を得るためには費用がかかるでしょうicon

韓国などは、HACCPの導入にかかる費用の半分は政府からの補助金で賄えるそうですicon韓国では国がHACCPを認証しており、認証農場は年々増えてきているということですicon 

 

日本でも費用面で農場への負担の少ない制度になってほしいなと思っています。

関係者の方、どうぞよろしくお願いします!!icon

 

 

サミットベテリナリーサービス

 

石関 紗代子