JASVブログ第231回

皆様こんにちは。サミットベテリナリーサービスの石関紗代子です。

半年ぶりくらいの書き込みになりますが、季節は移り変わり、夏の暑さも折り返しましたね。

この半年は京都学会を中心として色々な出来事があり、盛りだくさんでした。京都学会のことはすでに他の先生が書いてくれていますが、私の経験として、5月下旬から6月上旬に行ったオランダ研修も、とても勉強になりました。

 

オランダと聞くとチューリップ、風車などをイメージする人が多いでしょうか?オランダは、西ヨーロッパにある、九州くらいの大きさの国で、首都はアムステルダムです(アムステルダム駅は東京駅のモデルになったという説もあるとか)。私の訪れた地域は残念ながらチューリップと風車はありませんでしたが、のどかな地域でとても豊かな時間を過ごすことができました。

ヨーロッパで養豚が有名な国といえばデンマークですが、オランダもその小さい国土面積の中に日本全国とほぼ同じ頭数の母豚を保有して、日本の1.5倍の頭数の肉豚を生産する農業国なのです。今回の研修では、このオランダで8割以上のシェアを誇る種豚会社「TopigsNorsvin社」で研修をさせていただきました。豚を飼育している養豚場には6カ所、その他、開業獣医クリニックも訪問する機会をいただき、オランダの養豚と、獣医療について勉強することができました。


中でも日本の養豚獣医療と異なると感じたことは、オランダでは養豚場の豚の健康を、国の制度と専門獣医師がきちんと管理する制度が整っているということです。

オランダでは獣医師による養豚場の定期訪問が義務付けられていて、(問題があった場合にだけ獣医を呼ぶのではなく)問題がない場合にも日頃から獣医師が健康チェックのための巡回をする制度になっているそうです。一方の日本では、意識の高い養豚場ではすでに獣医師とのコンサルタント契約を結んで定期的に巡回してもらうことが当たり前になっていますが、まだすべての養豚場でそうなっているわけではなく、国としても獣医師による定期訪問を義務付けてはいません。

豚は豚肉になる食品である前に“生き物”ですから、責任を持った健康管理をできる体制を整えることが、消費者の皆様の信頼を得るためにも必要なのではないかと感じました。

 

あ、最後になりますが、6月に新しいオランダの本を翻訳出版しましたのでご紹介させてください。

バイオセキュリティや、衛生管理のポイントをオールカラーで、写真とイラストをふんだんに使ってわかりやすく説明しています。日本でも参考になる内容ですのでぜひバイオセキュリティの向上にお役立てください!

 

詳細は以下のサイトへ↓

http://e-venet.com/shoseki-hiikunoujou.html

8月いっぱいは割引をしているみたいです!)

 

㈲サミットベテリナリーサービス

 

石関 紗代子



P5300075shukushou.jpg

アムステルダム駅(オランダの人はみんな背が高かったです!)

posted by JASV at 11:40home

JASVブログ第230回

 イデアス・スワインクリニックの早川結子です。

 生き辛いほどに暑い毎日ですね!私は暑いのも寒いのも嫌いで、冬なぞは冬眠したいとつねづね思ってきました。でも最近は、夏こそは全ての活動を停止させてコールドスリープのカプセルの中で熱波をやり過ごしたいと思ってしまいます。

 

 そんな戯言はさておき、私が4月から自農場に入るようになり、8月で4カ月が過ぎました。まずは繁殖豚の管理改善に力を入れて繁殖成績のアップを・・・あれも試してこれも変えて・・・と目論んでいたのが、突然従業員の方が辞めてしまったことから否応なく即戦力?として離乳から肥育までの肉豚をまるっとみることに。それはそれで発見が多く、大きなやりがいを感じています。

 

 今一番興味を持って取り組んでいるのは、離乳舎での飼料の切り換えです。自農場の離乳舎には餌のラインが一本しか通っておらず、自動給餌に切り替わるまでに4種類の飼料(粉餌3つマッシュ1つ)を経ることになっています。離乳舎は1ロット1部屋で4ペンからなっており、大・中・中小・小と離乳時の体の大きさで分けて群編成しています。給餌器は大・中で一基、中小・小で一基と2基しかありません。1ペンの中でも餌の切り換えのタイミングは個体による差があるのに、2ペンを一基でまかなうとなると、片側のペンだけ完全に切り変えについて行けてなくなってしまうときが出てきてしまいます。その特に高いハードルになるのが、飼料の形状の大きな変化が起こる、粉餌からマッシュ飼料への切り換え時でした。

 

 これまでは、この切り換えの変化を和らげるために、切り替え前後のエサを1:1で攪拌機で良く混合したものを間に挟んで与えていました。最近、これを混ぜずに一つの給餌器の中に二種類の飼料を別々に入れ、両者の接触部分で自然に混ざるように給餌する期間を設けることにしてみました。よく見ていると、やはり粉餌を好む豚もいればマッシュを好む豚もいて、豚が食べたい餌を選んでいることや、だんだん粉餌の売れ行きが後退してマッシュの減りが早くなることもわかりました。その変化はロットによって異なりますが、2種類の餌の減りが視覚的に確認できることから、切り替えの適切なタイミングを決めやすくなるのではと思っています。

 

 餌の切り換えは飼養管理上も経営上も重要なポイントですが、離乳日齢や季節、疾病の状況によって常に変化しており、なかなか一遍打倒ではいかないのが現状だと思います。他の農場でも、基本プログラムに加えて責任者が切りかえの細かな指示を出していたり、離乳舎のプロフェッショナルが職人技を持っていたりと、農場ごとにバリエーションがありました。まずは自農場のスタンダードプログラムを詰めることと、誰にでもわかりやすい切り換えタイミングの見方を形にしていきたいと思っています。できれば、飼料の成分や使用重量と一日増体重のデータなどを示せるとかなり恰好良いのですが・・・。今後がんばりたいと思います!

 

 

引っ張り過ぎず、早過ぎず、ちょうどいいタイミングを。

 

わかりにくいですが、写真左側がマッシュ、右側が粉餌を入れてあります。マッシュの食い込みが上がっているためマッシュの方が多くなっています。

 

hayakawa1.jpg