JASVブログ第249回

みなさんこんにちは!()サミットベテリナリーサービスの渡部 佑悟です!


「今年の夏は暑くなる」という予想が出ていましたが、関東では例年よりもむしろ涼しくなり、肩透かしを食らって終わりました。

一方で、九州では8月中に1回しか雨が降らない地域もあるなど、途方もない暑さに見舞われ、繁殖成績が低下した農場も多く見られました。

このように地域差はありましたが、どの地域でも早めに対策を講じた農場ではその影響を最小限に抑えることができました。

今年の夏をうまく乗り切れた農場もあれば、来年の反省材料を残した農場もあったと思いますが、皆さんの農場はどうだったでしょうか?


今後は冬の寒さ対策が重要になります。

豚舎内のカーテンや壁に穴は空いていないでしょうか? 穴から入ってきた冷たい空気が豚に当たると、寒冷ストレスが疾病の発生を助長します。

ウィンドレス豚舎の場合も豚舎内に穴が見られないようにするのは当然ですが、それに加えて換気設定も夏場の状態から冬仕様に変更しなければなりません。

また、豚舎内の湿度も下がって乾燥しやすくなるので、乾燥により肺炎が出やすくなります。加湿のための散水は豚舎内に設置した湿度計を参考に、出来るだけ1日に複数回行えると良いでしょう。

加湿のために細霧装置を使うのも良い方法です。その場合は細霧ノズルに詰まりがあると十分に加湿が出来ないばかりか、霧状に細霧が出ずに水が直線的に噴射され、豚が濡れてしまう危険があるので注意が必要です。

最後に、豚舎内温度が十分に保温できているか確認してみて下さい。特に豚を豚舎に入れる際の部屋が十分に温まっていない農場が良く見られるので、移動後の豚が寒がっていないかよく確認してみて下さい。

移動直後はそれ以前にいた豚舎温度よりも高い環境温度を必要とするのですが、豚を導入する前の豚舎は熱源(豚)が少なく、十分に温まっていないことが往々にしてあります。その状態のまま入舎すると、移動直後の食下量が急激に落ち、1日増体重の悪化、出荷日齢の延長等の影響が出る可能性が高まります。

豚で豚舎を温めるのではなく、豚舎が豚を温められるようにしましょう。


最後に、秋が深まる群馬で、今シーズン最後の事務所の芝刈りを行った時の写真を載せます。

豚が体調を崩しやすい季節ということで今回のお話をしましたが、農場に関わる皆様も風邪を召されることのないよう、十分にご自愛くださいませ。


()サミットベテリナリーサービス


渡部 佑悟

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JASVブログ第248回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


寒暖の差が大きい時期となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?


私は今月タイで開催されたMSD Animal Health(㈱インターベット)主催の養豚臨床獣医師向けの繁殖研修Repro Trainingに参加させていただきました。


この研修では13か国(日本、中国、台湾、フィリピン、タイ、韓国、ベトナム、マレーシア、デンマーク、スペイン、スウェーデン、ドイツ、南アフリカ)から31名が参加しました。

研修は6日間行われ、最初の4日間は座学、後半2日間では大学と農場で実習が行われました。


この研修は繁殖分野に特化しており、繁殖障害、ホルモン剤の使い方、使うことによって得られる利益、再発を考える上での発生学、雄の取り扱い方、解剖実習など内容は多岐に渡りました。これまで疑問に思っていたことも、直接先生方に質問することが出来ました。


Dr. John Carrによるワークショップでは、分娩房を1つ空けるとどれだけ損しているかを算出したり、ある農場の繁殖成績を考察したり、発生学からの目線で再発について学ぶは、班ごとに考えながら行う大変内容の濃いものでした。

投資以上の利益を得ることを目的に据えて実施したワークショップでは、日本・韓国チームは「レギュメイト(別名:マトリックス。日本国内では未承認の合成プロジェステロン製剤)を候補豚に使うことによっていくらの利益を得ることができるのか農場主に説明」という題で考えました。


研修の後半で特に勉強になったのが雄の管理についてです。

私はAIセンターで研修した経験がありますが、研修後実際に農場巡回に行くようになってからは、雄の管理方法は農場によって様々であることを知り、多くの疑問を抱えていました。

精液の採取方法や希釈・観察方法について学び、講師を務めたDr. Gary Althouseにはほかにもいろいろなお話を伺うことが出来ました。


チュラルコーン大学での実習では屠場から入手した生殖器の観察を行いました。

これまでに卵胞や黄体など雌の生殖器は見たことがありましたが、尿道球腺をきって膠様物を出したりと、雄の生殖関係は初めて見たのでとても面白かったです。


また農場実習では、あて雄用に子豚の精巣上体尾のみをとることで将来射精できないようにする方法の練習も行いました。



研修へ行く前は大変緊張していましたが、とても実りある時間を過ごすことができました。

今後はこの研修を通し学んだことを現場で生かしたいと思います。

また、世界各国の養豚獣医師の方々とも知り合いになることができ、大変貴重な機会をいただきました。改めて御礼申し上げます。

(参加者全員での記念写真)

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