JASVブログ第250回

 

 皆様こんにちは、イデアス・スワインクリニックの早川です。

去る1014日にメインテーマ「感染症の撲滅と制御」を掲げ、日本豚病研究会、日本豚病臨床研究会、一般社団法人日本養豚開業獣医師協会による合同集会が行われました。いわゆる「豚病3団体」と呼ばれるもので、今回で7回めを数えました。参加者数も毎回およそ250名あまりと安定した盛り上がりを見せています。

 この会は「豚病3団体」への所属の有無に関わらず、動衛研の研究者、家保の職員、民間の養豚獣医師、生産者、関連メーカーなど参加は誰でも可能です。特にPEDが流行したときの開催では、多くの生産者の方々にご参加を頂き、現場からの真剣・切実な思いを関係者一同共有することができたのは記憶に新しいことです。


この集会の企画は3団体それぞれが持ち回りで行っており、今年は日本豚病臨床研究会の番でした。ちょうど私は同研究会の幹事をやらせていただいており、初めて企画に参加させていただきました。会の盛り上がりを左右する一番重要なのはやはりテーマ決めです。今一番ホットな話題とは何か、様々な立場から意見交換をし、情報を共有すべきは何か・・・。頭を突き合わせて考える中で、ある先生が「疾病との距離の取り方って、どうなんでしょう」とポツリとおっしゃられたのがきっかけとなり、今回のメインテーマが決まりました。


病気はもちろん無くなった方がいいに決まっています。が、その方法は生産活動の長期的な展望に沿ったものでなくてはなりません。例えば口蹄疫のような対策を全ての疾病に対して取らなくてはならなかったら・・・とても養豚業は続けられません。疾病を起こす病原体にはそれぞれの特徴があり、その詳細を明らかにした上で初めて撲滅の成否を量り、戦略を立てることができるといえます。例えば、感染経路、宿主域、体内での免疫動態、環境中の生存性など様々です。また疾病は病原体だけで起こるものではありません。豚という生き物の特質、そして養豚という生産システムが抱える要因、全てが絡み合って疾病が発生します。疾病ごとの特徴を正確に理解し、どのように向かい合うことが養豚生産場最も大きな利益を生むのかを考えることが「疾病との距離感」という言葉に凝縮されていると思います。


そういうわけで、疾病の制御、撲滅を考えるうえで、学術的なアプローチと実践的なアプローチは切っても切れない関係にあると言えます。その意味で、豚病3団体発足の理念がいかに正当であるかを強く再認識させてくれる良いテーマになったと個人的には思いました。その理念とは、JASVホームページによると「APVS2009(アジア養豚獣医学会)における3団体、産官学の連携、そして大会成功の経験と成果を今後の養豚獣医療、養豚産業の発展につなげていきたいという思いを形にするもの」とあります。研究、行政、臨床、生産、製造、開発までをひとつなぎにするこの集まりに、今後も大きな意義と可能性を期待しつつ、自分もその一翼を担えるよう頑張らなくてはと感じています。まだ参加したことがないという方は、ぜひ一度足を運んでみてください。(「豚病3団体」は毎年10月開催予定です。)

posted by JASV at 20:29Comment(0)日記