JASVブログ第256回

みなさんこんにちは!()サミットベテリナリーサービスの渡部 佑悟です!


今年の群馬では、梅雨らしい梅雨がなかったように感じます。関東でもあっという間に梅雨が明けてしまいました。夏の暑さに関して言えば、気象庁によると、昨年2016年の夏は1898年の統計開始以降最高の暑さだったそうです。そして今年の8月、9月の予想は去年よりも熱いそうです。つまり今年も過去最高の暑さになる可能性があるということです!!こうなると、今まではなんとか耐えられた夏場対策でも、今年の夏(または来年以降のさらに暑い夏)では通用しなくなる場合があるということです。暑さの影響としては母豚の繁殖成績低下、子豚の増体重減少やストレスによる疾病の拡大などがありますが、毎年このような影響に悩まされている農場では、今後さらに苦労すると思います。今後の夏の暑さに向けて、全ての養豚場で、本腰をいれて対策しなければ、夏場の成績低下は避けられないでしょう。

また、夏は暑さ対策も重要ですが、落雷による停電にも気を付けなければいけません。落雷によって、ウィンドレス豚舎の換気扇が止まり、子豚が窒息死するという事故が懸念されます。落雷や雷雨は局所的に起こることが多く、自宅付近で落雷が落ちるような天気ではなくても、農場で落雷があることがあります。従業員がいる時に停電に気付ければすぐに対処できますが、夜中に停電が起こるとすぐに異変に気付くことが出来ません。多くのウィンドレス豚舎を採用している農場では停電時の緊急連絡が電話で来るようになっていますが、その機能が故障していて、連絡が来なくて結局豚が窒息死してしまった農場もあります。そのような被害を防ぐためには、緊急連絡機能の点検を定期的に行うと良いでしょう。または、停電時に作動する緊急換気装置を設備として備えておくことをお勧めします。緊急換気装置は様々ですが、通常使用している電気回路とは別電源の充電式ファンで温度が高温になった時に作動する装置があります。または、エアーカーテン内の空気を通常時は流れるようにしておき、停電時はエアーカーテン内の空気の供給が止まることでカーテンがしぼんで外気が入る仕組みになっている緊急換気装置もあります。いずれの場合にしても、電気が無くなった時に自動的に換気を行えるような仕組みにしておくことが重要です。この備えは、万が一の時に必ず役に立ちます。そして、このような万が一は必ず日本全国でどこかで起きています。自農場だけは特別と考えず、対策を取っておくことが重要です。


最後に、豚の健康もさることながら、農場に関わる皆様も熱中症などを起こされることのなきよう、十分な水分補給と、こまめな休憩を確保して、ご自愛くださいませ。

()サミットベテリナリーサービス

渡部 佑悟

続きを読む

posted by JASV at 07:29Comment(0)日記

JASVブログ第255回

 皆様こんにちは、イデアス・スワインクリニックの早川です。私が住んでいる千葉県旭市では、ついにほとんど雨が降らないまま夏本番を迎えることになってしまいました。懸念されていた水不足が関東全域で深刻さを増しています。かと思えば、つい数日前に首都圏では天気の急変により大風・大雨、さらに大粒の雹までもが降りました。連日被害の爪痕がニュースで伝えられる北九州の豪雨災害にあっては、一日でも早く復旧が進むよう祈るばかりです。


さて、豚の獣医師になったことで私のホームグラウンドとなった旭市は、南を弓型のカーブを描く九十九里浜に面しています。海岸線から7,8㎞は真っ平な地形が続き、その先に北総台地が北へ向かってなだらかに広がっています。海風がこの広い平野を自由に行き来するせいか、昼間がどんなに暑くても朝夕はしっかり気温が下がり、ぐっと涼しくなります。熱帯夜に耐え兼ねて窓を開け放って横になると、朝方は毛布を引き寄せずにはいられなくなるほどです。

もちろんそれは豚も同じです。開放豚舎では夜間のカーテンの開け幅の設定に苦慮するケースが冬場より多いと感じます。夕方はまだ昼間の熱気がこもっており、開閉度を大きく取りたい。が、夜間から明け方にかけて急激に気温が下がり、大きくカーテンを開けたまま農場を出てしまうと、温度が下がり過ぎて肺炎が出たりする。一日の温度差が、季節の変わり目だけではなく、夏本番になっても悩み深いのがこの地域の特徴かもしれません。最近は地理的条件に関係なく、気温や降水量などあらゆることが極端化していますので、もしかしたら他地域でも同じ悩みがある農場は意外に多いのかもしれません。


この悩みの解決法は、カーテン調節を2段階で行うということに尽きます。つまり、夕刻農場を離れる前に一度、気温が下がり始めてからもう一度。このひと手間をどうルーチンに組み込むかが本当の悩みどころなわけです。農場の近くに自宅がある、農場敷地内に住み込みの従業員さんがいる、という条件ならまだしも、農場と管理者が離れているとなかなか実施できないまま夏を過ごしてしまう・・・と言った方も少ないことでしょう。


が、もしかしたら「ひと手間」で悩む必要も、もはやないかもしれません。最近はITの畜産分野への参入が、生産データ解析以外の現場管理に関してもよく聞かれます。例えば豚舎の温度・湿度のモニタリングデータをモバイル端末で確認し、対応している農場などです。他にも、私が養豚場で「あったらいいな、できたらいいな」と思うこととして、分娩舎のモニタリングシステム(圧死低減や分娩介助のため)、出荷豚の視覚データによる体重測定もしくは個体別の出荷予測、などがあります。「技術自体はある、どんなニーズにも答えられる技術は。」と、以前技術屋さんに言われたことがあります。が、それが実際の省力性、収益性に繋がるかはまた別の問題である、とも。養豚現場とIT技術という異分野を発展的に繋ぐには、ニーズとシーズのマッチング、チームの編成、アイデアの研磨、運用の工夫、活用の向上に至るまで、長期的にコミュニケーションの場を作りながら舵取りをして行く人間が必要であり、それが養豚管理獣医師の新たな役割になってくるのではと予感しています。新しいことを恐れず取り入れて、変化する時代の波に柔軟に対応して行けるよう努めていきたいです。

posted by JASV at 09:43Comment(0)日記