JASVブログ第206回

 

 

こんにちは。豊浦獣医科クリニックの古川誠です。

 9月に入り夜は秋風が走るようになりました。暑がりの私は夏の間クーラが欠かせないのですが、ようやくクーラ無しで過ごせる夜が増え、着実に秋が近づいているんだなと実感する毎日です(とはいえ昼間はまだまだ暑いですが…)。

  

今回は養豚獣医師として必須になりつつある重要なスキルである英語力に関して書かせていただきたいと思います。

 養豚獣医師として働き始めて感じたこととして、意外に英語を使う機会が多いなということがあります。海外の文献を読んだりすることはもちろんですが、海外から講師を招いての勉強会やセミナが年に数回あります。勉強会やセミナでは通訳の方が入るので内容を理解することには問題はありませんが、やはり講師が話される言葉を直接理解できるのに越したことはありません。また勉強会やセミナの後には懇親会が開かれますが、英語力があればその場で講師に突っ込んだ質問も可能ですし、本番では話してくれなかったような裏話や情報を聴けたりすることもあったりなかったり…。そんな訳で他の職種と同様に養豚獣医師もこれからますます英語が必要不可欠なスキルとなってくると思われます。

 私自身も英語の勉強法に関しては遡ること高校時代から今に至るまであれこれ興味を持って試してみました。そんな玉石混合試す過程でちょっとした奇跡(?)の物語がありますので、それを紹介させていただこうかと思います。

 

  

私が英語の勉強方法をあれこれ模索していた時代は、ネット時代到来の夜明け前という頃で、今と違ってそれほどパソコン自体も普及しておらず、現在では定番の語学学習ツールであるStreamingPodcastなどは存在すらしていない時代でした。ネイティブの英語に触れるには衛星放送かNHKの副音声放送くらい、関西で生まれ育ったのでAFN(旧FEN)は受信することができず悔しい思いをしたことを覚えています。

  

 

そんな2004年のある日、実家で朝日新聞を読んでいるとコラム欄(天声人語)に目が留まりました。記事はハーバード大学で歴史学の教授をされていた入江昭氏(歴史学の世界では知らない人がいないくらいの超有名人だそうです)のインタビュが中心で概要は以下のようなものでした。

  

01年のNYの同時多発テロ以降テレビを観なくなった。代わりにラジオを聴いている。

■どんなラジオかというとMPR。同僚や友人もそういう人が多い。

MPRとはミネソタパブリックラジオ(http://minnesota.publicradio.org/)のこと。MPRはミネソタ州を拠点に全米に番組を流している非営利放送局である。

MPR10の信条を掲げている(「外からのいかなる介入も断固拒否する」「ニュースとエンターテインメントとを峻別する」「人気や聴取率のためには番組をつくらない」など)

 

当時英語の勉強法を模索していた私は俄然MPRに興味を持ちました。さっそくネットで検索したところホームページは簡単に見つかりましたが、当時はStreamingPodcastによる配信サービスもまだなく、実際に渡米する以外MPRを聴く方法はないとわかり、AFNが聴けなかった時と同様がっくり肩を落としましたことを覚えています。

  

 

しかし日進月歩のネットの進化は想像以上に早く、記事を目にしてから数年後(おそらく2008年あたり)にStreamingPodcastによる番組配信がスタートし、日本にいながらMPRを聴くことが可能になりました。イメージ的にシリアスな番組ばかりなのかなと思っていたのですが、実際はシリアスな内容ばかりでなく歌あり、コメディあり、クイズありと非常にバラエティに富んでいて、もちろん100%理解することはできなかったものの、飽きずに楽しむことができました。MPRを聴き始めてリスニング力の向上にずいぶん役に立ったのではないかと思います。

 

 

その後大学を卒業し養豚獣医師としてそれなりに忙しい日々を過ごすようになりましたが、以前ほどではないものの、寝る前や移動中のちょっとした時間にMPRは聴き続けていました。

そして獣医師となって2年目の2013年のある日、クリニックからアメリカでの養豚場視察をするチャンスが与えられました。行先はなんとミネソタ!あのMPRのミネソタ!そう、ミネソタはアメリカでも有数の養豚が盛んな地域なのです!!

数ある獣医師としての選択肢の中で養豚獣医師を選ばなければおそらく一生ミネソタに行くことはなかったと思います。

まさに養豚が縁となって“生のMPRを聴く”というおよそ10年前の夢が回りまわって実現することになったのでした。

 

 

渡米の時を迎え、飛行機に乗って生まれて初めてのアメリカへ。視察が終わってホテルの自分の部屋に戻り、ドキドキしながらベッドに据え付けられているラジオのスイッチを入れチューニング…やがて流れてきた聞き覚えのあるMPRの番組…ネット配信ではなく電波に乗って流れてきた憧れのMPRを聴いた時の感動は忘れることができません…。

 

 

この記事を書いて改めて英語を勉強し直さなければと背筋を伸ばす思いになりました。

来年の6月には京都で国際新興・再興豚病学会(ISERPD)が開かれます。海外から大勢の養豚関係者が来日されると思います。ホスト国の獣医師としてゲストのみなさんとコミュニケーションが不自由なくできるように、来年6月までMPRを聴きこんで臨もうと思います。

  

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当時の記事(天声人語)。普段新聞の切り抜きなどしないのでよほど印象に残ったんだと思います。

この記事へのコメント

  • ぶぶたん

    TITLE: 無題
    いつも楽しく拝見させてもらっています。
    獣医になりたかった私なもので…

    これからも投稿を楽しみにしてます。
    2014年09月19日 19:27

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