JASVブログ第255回

 皆様こんにちは、イデアス・スワインクリニックの早川です。私が住んでいる千葉県旭市では、ついにほとんど雨が降らないまま夏本番を迎えることになってしまいました。懸念されていた水不足が関東全域で深刻さを増しています。かと思えば、つい数日前に首都圏では天気の急変により大風・大雨、さらに大粒の雹までもが降りました。連日被害の爪痕がニュースで伝えられる北九州の豪雨災害にあっては、一日でも早く復旧が進むよう祈るばかりです。


さて、豚の獣医師になったことで私のホームグラウンドとなった旭市は、南を弓型のカーブを描く九十九里浜に面しています。海岸線から7,8㎞は真っ平な地形が続き、その先に北総台地が北へ向かってなだらかに広がっています。海風がこの広い平野を自由に行き来するせいか、昼間がどんなに暑くても朝夕はしっかり気温が下がり、ぐっと涼しくなります。熱帯夜に耐え兼ねて窓を開け放って横になると、朝方は毛布を引き寄せずにはいられなくなるほどです。

もちろんそれは豚も同じです。開放豚舎では夜間のカーテンの開け幅の設定に苦慮するケースが冬場より多いと感じます。夕方はまだ昼間の熱気がこもっており、開閉度を大きく取りたい。が、夜間から明け方にかけて急激に気温が下がり、大きくカーテンを開けたまま農場を出てしまうと、温度が下がり過ぎて肺炎が出たりする。一日の温度差が、季節の変わり目だけではなく、夏本番になっても悩み深いのがこの地域の特徴かもしれません。最近は地理的条件に関係なく、気温や降水量などあらゆることが極端化していますので、もしかしたら他地域でも同じ悩みがある農場は意外に多いのかもしれません。


この悩みの解決法は、カーテン調節を2段階で行うということに尽きます。つまり、夕刻農場を離れる前に一度、気温が下がり始めてからもう一度。このひと手間をどうルーチンに組み込むかが本当の悩みどころなわけです。農場の近くに自宅がある、農場敷地内に住み込みの従業員さんがいる、という条件ならまだしも、農場と管理者が離れているとなかなか実施できないまま夏を過ごしてしまう・・・と言った方も少ないことでしょう。


が、もしかしたら「ひと手間」で悩む必要も、もはやないかもしれません。最近はITの畜産分野への参入が、生産データ解析以外の現場管理に関してもよく聞かれます。例えば豚舎の温度・湿度のモニタリングデータをモバイル端末で確認し、対応している農場などです。他にも、私が養豚場で「あったらいいな、できたらいいな」と思うこととして、分娩舎のモニタリングシステム(圧死低減や分娩介助のため)、出荷豚の視覚データによる体重測定もしくは個体別の出荷予測、などがあります。「技術自体はある、どんなニーズにも答えられる技術は。」と、以前技術屋さんに言われたことがあります。が、それが実際の省力性、収益性に繋がるかはまた別の問題である、とも。養豚現場とIT技術という異分野を発展的に繋ぐには、ニーズとシーズのマッチング、チームの編成、アイデアの研磨、運用の工夫、活用の向上に至るまで、長期的にコミュニケーションの場を作りながら舵取りをして行く人間が必要であり、それが養豚管理獣医師の新たな役割になってくるのではと予感しています。新しいことを恐れず取り入れて、変化する時代の波に柔軟に対応して行けるよう努めていきたいです。

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