JASVブログ第257回

 こんにちは、あかばね動物クリニックの水上です。


721日にJASV15回通常総会・活動報告会が開催されました。加えて記念公演が2題、「海外における動物用抗菌剤使用量モニタリングと薬剤耐性菌対策(杉浦勝明先生)」「持続可能な畜産のためのJGAP認証(澤田一彦先生)」がありました。薬剤耐性(AMR)対策とJGAP、どちらも今の養豚業界でホットな話題です。今回は前者のAMRについて少しだけ掘り下げてみます。


AMRが注目され始めた背景の一つは、人への薬剤耐性菌による被害拡大です。英国の調査チームが発表した「抗菌薬耐性レビュー」があります。この報告では、耐性菌による世界中での死亡が2013年時点では70万人であり、十分な対策がなされなければ2050年には1000万人にのぼるおそれがあると言われています。またone healthと言って人の衛生、家畜の衛生、野生動物の衛生に関わる関係者が連携共同して統合的に取り組むことが推進されてきています。


薬剤の使用方法についての方針も見直されつつあります、「適正使用」から「慎重使用」です。慎重使用については農林水産省から基本的な考えが提示されています。適正とは滴定で正当なこと、つまり法令及び用法・用量を遵守し、使用上の注意に従って使用することです。慎重とは注意深く、軽々しく行動しないこととあります。それは抗菌剤を使用するべきかどうかを十分検討したうえで、抗菌剤の適正使用により最大限の効果を上げ、薬剤耐性菌の発生を最小限に抑えるように使用することです。このように挙げると難しいことのように聞こえ、少し敬遠されるかもしれません。けれど慎重使用とは何が何でも使う量を減らすということではなく、使うべき時はしっかり使うことです。ダラダラ使うことをやめて、短期集中投与にすることで、病原微生物を一気にたたくことができ、薬剤コストを抑え、薬剤が効きづらくなることが少なくなる。このようにメリットも出てきます。まずは農場にはどのような病原体がいて、どのような抗菌剤が効果的かを再確認することがスタートになります。

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