JASVブログ第269回

みなさんこんにちは!()サミットベテリナリーサービスの渡部 佑悟です!


この度611日から614日まで開催された、国際養豚獣医学会(IPVS)に参加する機会を頂きましたので、今回は、簡単な報告とさせていただきたいと思います。

今回のIPVSは中国の重慶で開催されました。重慶は中国の主な都市の一つであり、市内総生産額は中国の都市でも5位の工業都市です。市内の総人口も3022万人おり、驚きました。気候は盆地であるが故に夏は酷暑となり、7月の平均気温は28.3℃に達し、湿度も高く非常に蒸し暑い気候になります。そのため長江流域の武漢、南京と並んで「三大火炉」と呼ばれているそうです。年中曇りや雨の日が多く、中国で最も日照時間が少ない都市の一つです。

今回の学会では世界中で今話題になっている議題について発表がありました。多くの発表があり、そのすべてを紹介することは出来ないのですが、ここでは最近新しく発見されたウイルスであるPCV3について少し触れてみたいと思います。PCV3はアメリカで2016年に初めて見つけられたウイルスです。それ以降の検査により、ブラジル、中国、ポーランドなど、様々な国でもウイルスが検出されています。さらに過去の血液検体を遡って検査してみると、過去の検体でもPCV3が検出されており、この病原体が突然地球上に現れてきたわけではなく、何年も前から存在していたということが分かってきています。しかしその病態については現在も調査中であり、PCV3が豚に与える病態というものは詳しく分かっていません。そもそも、PCV3に病原性があるのかどうかですらも、まだ確実なことが分かっていないのが現状です。今後さらに研究分野や臨床分野でさらに知見が集まってくることを期待するばかりです。 

さて、今回の学会で僕が一番思い出に残った出来事としては、初めて口頭発表したことです。海外の学会なので、英語を使ったプレゼンテーションをすることになったのですが、なんとか無事に終えることが出来ました。僕が発表した内容はP-JETチームで作成したBioAsseTについてでした。(BioAsseTの詳細についてはhttp://site-pjet.com/参照) BioAsseTのコンセプトや結果の見方について説明をしました。発表後に聴衆から質問があったり、終了後にあいさつに来てくれた方がいたりするなど、発表したことは有意義でした。今後は今回の経験をさらに現場にも役立てられるようにしていきたいと思います。プレゼンに協力していただいた方々や、発表を勧めてくれたP-JETメンバーの皆様方にこの場を借りてお礼申し上げます。


(有)サミットベテリナリーサービス

渡部 佑悟

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posted by JASV at 17:04Comment(0)日記

JASVブログ第268回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


今年がスタートして5カ月が過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

弊社、㈲サミットベテリナリーサービスには、4月に獣医師の新入社員くんが入社しました。4月から半年間は農場研修中なので、まだ会う機会は少ないのですが、ついに私も先輩になるときがやってまいりました(^-^;) 半年後が楽しみです!


話は変わり、今回はJGAPについてお話ししようかと思います。

先日、58日~9日の2日間で、JGAP指導員基礎研修に参加して来ました。


JGAPといえば、2020年の東京オリンピックとパラリンピックで自分たちの豚肉を提供するためには・・?ということで話題になってきました。


今回の研修では、JGAPの基礎的な概要から、実際に審査に必要な書類などについて学びました。

まず、皆さんも気になるオリンピックについてですが、20173月に正式に、東京オリンピックとパラリンピックにおける畜産物の調達基準として、

・食材の安全の確保

・環境保全に配慮した畜産物生産活動の確保

・作業者の労働安全の確保

・快適性に配慮した家畜の飼養管理

4項目を満たしていることを示す方法のひとつとしてJGAPが示されました。


そもそもGAPとは、「Good Agricultural Practice」の略で、「良い農場のやり方」ということです。


JGAPは、食の安全や環境保全などに取り組む農場に与えられる日本のGAP認証制度のことになります。一般財団法人日本GAP協会がスキームオーナーとして認証制度の開発・運営を行っています。


これまで、私たちにとって身近な認証制度といえば、農場HACCPでした。農場HACCPは、豚(原料)の製造・出荷までのすべての生産工程において、あらかじめ起こり得る危害(生物的、化学的、物理的)を未然に防ぐために、管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うシステム認証のことです。


JGAPは、農場HACCPとは異なり、システム認証ではなく、製品認証です。

農場管理、食品安全、家畜衛生、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの視点から適切な生産工程管理のあり方を定めたものです。


管理項目については、農場HACCPと重なっている部分も多く、HACCPで足りない部分をJGAPが補っています。そのため、農場HACCP認証を取得されている農場がJGAP認証を受けたい場合は、差分審査というものも受けることが可能になっています。

JGAP認証のために、新たに取り組む必要があるのは、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの部分になります。


研修の中で、驚いたことがありました。2012年のロンドンオリンピックでは、食材調達基準として、レッドトラクター認証が用いられていました。レッドトラクターは、イギリスの農業者団体が運営するGAP認証制度であり、イギリス国内の農業者の7095%が加盟しており、農畜産物の80%以上をカバーしているとのことでした。つまり、GAP認証は、製品の差別化を目的に取得しているわけではなく、GAP認証を取得することが当たり前になっているという事実でした。オリンピック・パラリンピックだけを目標にするわけではなく、農産物の安全性を第三者認証を活用して担保していくことが、今後求められていくのだなと感じました。



私が2週間に1回訪問させていただいている農場では、毎回豪華なランチをご馳走になっています。

農場の豚肉と、とれたての野菜をふんだんに使った食事でいつもいつも感謝の気持ちでいっぱいです!2018-1.JPG

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JASVブログ第267回

㈱バリューファーム・コンサルティングの大久保光晴です。

暖かくなり、体を動かしたくなるシーズンなってきましたが、皆さまは如何お過ごしでしょうか?

東京オリンピックが近づいてきた影響か、最近は車の運転中にランニングをしている方を良く見かけるような気がします。

今回は春における豚舎の環境コントールについて、考えてみたいと思います。

この時期、特にウィンドレス豚舎の離乳舎の換気でお悩みの方が多いのではないでしょうか?


既に養豚に関わり、ウィンドレス豚舎の管理を任されている方には釈迦に説法ですが、豚舎の環境コントールは重要な要素が多く、温度はもちろん、湿度や豚舎内の換気量も重要です。さらにアンモニアやCO2も大切ですし、豚舎内に空気を送るインレットや空気を撹拌するミキシングファンの吹き出し風速も計測し、把握しておきたいですね。

要素がたくさんある中で、日較差が大きく、空気が乾燥している春は、湿度に注目することをお勧めします。目標は50~70%です。


表1は、1983年ミッドウエストプランサービス、アイオワ州立大学他による発育ステージごとの寒冷時・温暖時・暑熱時における必要換気量、グラフ1は、気象庁のホームページで見られる、私が良く行く地域の気温データです。

皆さんも普段色々な指標やデータを使って、豚舎の環境コントールに注力されていると思いますが、春の日中急上昇した外気温に合わせてファンが強く回ったところ、外気温に対する換気量はそれほど間違っていないのに、なぜか豚が寒がった経験はありませんか?


その黒幕が湿度です(もちろん、入気風速が強いため豚に風が当たること、隙間風や床の素材による影響も考えなければいけませんが...)。湿度が低いので、同じ温度であっても体感温度が低いと言うわけです。

そして、春は四季の中で1日の最低気温と最高気温の差(日較差)が大きく、湿度も低いので、夜間の換気量も維持するために設定温度を下げていると、この現象が起きやすいのです。


このことから、鋭い管理者の方は、夜間の換気不足に注意して、日令の経過と共にファンの設定温度を下げつつ、日中急上昇した外気温には、設定温度を一時的に上げて対応されたりします(ファンのHzが可変する場合、温度幅を広げることもあります)。でも、最後は豚が答えを出しますね。


この時期は本当に日較差が大きく、豚舎内の環境コントールに悩みますが、皆さんの一助となれば幸いです。臨機応変に対応し、この難しい時期を乗り切りましょう!


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