JASVブログ第268回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


今年がスタートして5カ月が過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

弊社、㈲サミットベテリナリーサービスには、4月に獣医師の新入社員くんが入社しました。4月から半年間は農場研修中なので、まだ会う機会は少ないのですが、ついに私も先輩になるときがやってまいりました(^-^;) 半年後が楽しみです!


話は変わり、今回はJGAPについてお話ししようかと思います。

先日、58日~9日の2日間で、JGAP指導員基礎研修に参加して来ました。


JGAPといえば、2020年の東京オリンピックとパラリンピックで自分たちの豚肉を提供するためには・・?ということで話題になってきました。


今回の研修では、JGAPの基礎的な概要から、実際に審査に必要な書類などについて学びました。

まず、皆さんも気になるオリンピックについてですが、20173月に正式に、東京オリンピックとパラリンピックにおける畜産物の調達基準として、

・食材の安全の確保

・環境保全に配慮した畜産物生産活動の確保

・作業者の労働安全の確保

・快適性に配慮した家畜の飼養管理

4項目を満たしていることを示す方法のひとつとしてJGAPが示されました。


そもそもGAPとは、「Good Agricultural Practice」の略で、「良い農場のやり方」ということです。


JGAPは、食の安全や環境保全などに取り組む農場に与えられる日本のGAP認証制度のことになります。一般財団法人日本GAP協会がスキームオーナーとして認証制度の開発・運営を行っています。


これまで、私たちにとって身近な認証制度といえば、農場HACCPでした。農場HACCPは、豚(原料)の製造・出荷までのすべての生産工程において、あらかじめ起こり得る危害(生物的、化学的、物理的)を未然に防ぐために、管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うシステム認証のことです。


JGAPは、農場HACCPとは異なり、システム認証ではなく、製品認証です。

農場管理、食品安全、家畜衛生、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの視点から適切な生産工程管理のあり方を定めたものです。


管理項目については、農場HACCPと重なっている部分も多く、HACCPで足りない部分をJGAPが補っています。そのため、農場HACCP認証を取得されている農場がJGAP認証を受けたい場合は、差分審査というものも受けることが可能になっています。

JGAP認証のために、新たに取り組む必要があるのは、環境保全、労働安全、人権の尊重及びアニマルウェルフェアの部分になります。


研修の中で、驚いたことがありました。2012年のロンドンオリンピックでは、食材調達基準として、レッドトラクター認証が用いられていました。レッドトラクターは、イギリスの農業者団体が運営するGAP認証制度であり、イギリス国内の農業者の7095%が加盟しており、農畜産物の80%以上をカバーしているとのことでした。つまり、GAP認証は、製品の差別化を目的に取得しているわけではなく、GAP認証を取得することが当たり前になっているという事実でした。オリンピック・パラリンピックだけを目標にするわけではなく、農産物の安全性を第三者認証を活用して担保していくことが、今後求められていくのだなと感じました。



私が2週間に1回訪問させていただいている農場では、毎回豪華なランチをご馳走になっています。

農場の豚肉と、とれたての野菜をふんだんに使った食事でいつもいつも感謝の気持ちでいっぱいです!2018-1.JPG

posted by JASV at 20:44Comment(0)日記

JASVブログ第267回

㈱バリューファーム・コンサルティングの大久保光晴です。

暖かくなり、体を動かしたくなるシーズンなってきましたが、皆さまは如何お過ごしでしょうか?

東京オリンピックが近づいてきた影響か、最近は車の運転中にランニングをしている方を良く見かけるような気がします。

今回は春における豚舎の環境コントールについて、考えてみたいと思います。

この時期、特にウィンドレス豚舎の離乳舎の換気でお悩みの方が多いのではないでしょうか?


既に養豚に関わり、ウィンドレス豚舎の管理を任されている方には釈迦に説法ですが、豚舎の環境コントールは重要な要素が多く、温度はもちろん、湿度や豚舎内の換気量も重要です。さらにアンモニアやCO2も大切ですし、豚舎内に空気を送るインレットや空気を撹拌するミキシングファンの吹き出し風速も計測し、把握しておきたいですね。

要素がたくさんある中で、日較差が大きく、空気が乾燥している春は、湿度に注目することをお勧めします。目標は50~70%です。


表1は、1983年ミッドウエストプランサービス、アイオワ州立大学他による発育ステージごとの寒冷時・温暖時・暑熱時における必要換気量、グラフ1は、気象庁のホームページで見られる、私が良く行く地域の気温データです。

皆さんも普段色々な指標やデータを使って、豚舎の環境コントールに注力されていると思いますが、春の日中急上昇した外気温に合わせてファンが強く回ったところ、外気温に対する換気量はそれほど間違っていないのに、なぜか豚が寒がった経験はありませんか?


その黒幕が湿度です(もちろん、入気風速が強いため豚に風が当たること、隙間風や床の素材による影響も考えなければいけませんが...)。湿度が低いので、同じ温度であっても体感温度が低いと言うわけです。

そして、春は四季の中で1日の最低気温と最高気温の差(日較差)が大きく、湿度も低いので、夜間の換気量も維持するために設定温度を下げていると、この現象が起きやすいのです。


このことから、鋭い管理者の方は、夜間の換気不足に注意して、日令の経過と共にファンの設定温度を下げつつ、日中急上昇した外気温には、設定温度を一時的に上げて対応されたりします(ファンのHzが可変する場合、温度幅を広げることもあります)。でも、最後は豚が答えを出しますね。


この時期は本当に日較差が大きく、豚舎内の環境コントールに悩みますが、皆さんの一助となれば幸いです。臨機応変に対応し、この難しい時期を乗り切りましょう!


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posted by JASV at 06:26Comment(0)日記

JASVブログ第266回

こんにちは。豊浦獣医科クリニック(TVC)田村です。


こちら神奈川ではかなり春を感じる陽気になり、先日桜の花びらが道路に散っているのを見て途端に「嗚呼、春だなあ」と実感しました。皆様のところではいかがでしょうか?

(止まらないくしゃみや目のかゆみで実感した方も多いのでは?)


3月には例年弊社主催で「初級養豚研修講座」(以下初級講座)があり、今年も312日~15日に実施しましたのでその様子をお伝えしようと思います。


初級講座は養豚場の後継者、新入社員の教育、もう一度基礎から学びたい方を対象としています。社会人としてのマナーや飼養管理の基礎の講義、実際に豚を使っての実習など養豚に携わる者にとって、とても有意義な内容となっています。

 そして、この講習の最大の魅力は、何と言っても経験豊富な講師陣による講義です。全国で活躍されている養豚管理獣医師を講師に招いており、直に話を聞ける良い機会でもあります。 また合宿タイプのため、全国各地からこの講習に参加されており、受講生同士の交流も魅力のひとつです。

 この研修を終えて、講習の内容や受講生同士の情報交換の内容などを地元に持ち帰り、今後の仕事に役立てていただくことが、この講習の最大の目的です。

(弊社ホームページより抜粋)


講座内容をあたらめてご説明すると、初級と名がつく通り、豚に関わる基本的な知識や現場経験の少ない養豚初級者でもなるべくわかるよう配慮して構成しています。「解剖学」「呼吸器病」「消化器病」などの基本的な話から、PEDなど聞いたことのある病気名も交えて解説し、農場現場で見て感じたことと結びつくように各講師陣工夫しています。私も僭越ながら今年から「バイオセキュリティ」と「精液実習」の講座を担当させていただきました。

…余談ですが、誰にでもわかるような講義となるよう資料作りや話し方というものは思った以上に難しかったです。専門用語の乱用は控え、簡単な言葉やフレーズに言い換えるという作業を通じて自らの理解があいまいだった部分も補えたような気がします。


参加者の層ですが、例年農場の若手の方(後継者、入社0~3年目程度の従業員)のご参加が多く、今年も二十歳前後の方にたくさん参加していただきました。中には産業動物用製品のメーカーの外回りを担当される方や、地方自治体の畜産分野の部署で働かれている方も参加されており、年々参加する年齢層や所属先の多様性が増していて、普段お会いすることもじっくりとお話しすることもなかなかないメンバー同士の有意義な交流の場になっています。


…と、宣伝みたいな内容ばかりで恐縮なのですが、例年リピーターや口コミでの参加申し込みが多く、すぐに埋まってしまう傾向にあります。個人的な見解ですが、養豚業界には人材育成や「背中を見て倣え」だけでは通用しないより効率的・効果的なスキル向上が必要であり、そのための体系的な教育の需要があると考えます。我々もすべての参加希望者に対応できるわけではありませんが、少しでも多くの養豚家の皆様のお力になれればと思い続けています。今回で初級講座も第16回を迎えました。卒業生一同が活躍して笑顔で働いていければ良いなと願っております。(…と、弊社社長が申しておりましたので代筆します。)


卒業生が社長や場長クラスになっているころに私はどうしているかなあと思いつつ、次会う時に恥ずかしくないように、養豚獣医師として精進していきたいと思います。


卒業生よ、大志を抱け!また逢う日まで。


豊浦獣医科クリニック 田村美穂

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