JASVブログ第248回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


寒暖の差が大きい時期となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?


私は今月タイで開催されたMSD Animal Health(㈱インターベット)主催の養豚臨床獣医師向けの繁殖研修Repro Trainingに参加させていただきました。


この研修では13か国(日本、中国、台湾、フィリピン、タイ、韓国、ベトナム、マレーシア、デンマーク、スペイン、スウェーデン、ドイツ、南アフリカ)から31名が参加しました。

研修は6日間行われ、最初の4日間は座学、後半2日間では大学と農場で実習が行われました。


この研修は繁殖分野に特化しており、繁殖障害、ホルモン剤の使い方、使うことによって得られる利益、再発を考える上での発生学、雄の取り扱い方、解剖実習など内容は多岐に渡りました。これまで疑問に思っていたことも、直接先生方に質問することが出来ました。


Dr. John Carrによるワークショップでは、分娩房を1つ空けるとどれだけ損しているかを算出したり、ある農場の繁殖成績を考察したり、発生学からの目線で再発について学ぶは、班ごとに考えながら行う大変内容の濃いものでした。

投資以上の利益を得ることを目的に据えて実施したワークショップでは、日本・韓国チームは「レギュメイト(別名:マトリックス。日本国内では未承認の合成プロジェステロン製剤)を候補豚に使うことによっていくらの利益を得ることができるのか農場主に説明」という題で考えました。


研修の後半で特に勉強になったのが雄の管理についてです。

私はAIセンターで研修した経験がありますが、研修後実際に農場巡回に行くようになってからは、雄の管理方法は農場によって様々であることを知り、多くの疑問を抱えていました。

精液の採取方法や希釈・観察方法について学び、講師を務めたDr. Gary Althouseにはほかにもいろいろなお話を伺うことが出来ました。


チュラルコーン大学での実習では屠場から入手した生殖器の観察を行いました。

これまでに卵胞や黄体など雌の生殖器は見たことがありましたが、尿道球腺をきって膠様物を出したりと、雄の生殖関係は初めて見たのでとても面白かったです。


また農場実習では、あて雄用に子豚の精巣上体尾のみをとることで将来射精できないようにする方法の練習も行いました。



研修へ行く前は大変緊張していましたが、とても実りある時間を過ごすことができました。

今後はこの研修を通し学んだことを現場で生かしたいと思います。

また、世界各国の養豚獣医師の方々とも知り合いになることができ、大変貴重な機会をいただきました。改めて御礼申し上げます。

(参加者全員での記念写真)

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JASVブログ第247回

 こんにちは、あかばね動物クリニックの水上です。


 リオデジャネイロオリンピックとパラリンピックが終わりましたね。日本人選手の活躍が連日報道され、映像を見たり結果を聞いたりするだけで、エネルギーを分けてもらいました。全てのスポーツで言えることですが、超人的な動きには目を見張ります。動きを真似しようものなら、まず翌日動けなくなりそうです。


 先の話ですが、4年後には日本で東京オリンピックが開催されます。多方面での準備が進んでおり、少しずつ実感がわいてきます。愛知県田原市でも競技の一つ、サーフィンを誘致しようと“のぼり”が立っています。

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オリンピックは“スポーツの祭典”ともいわれ、世界各国の一流の選手が一堂に集まります。そして、様々な宗教や文化圏の方々が一堂に会するため、近年のオリンピックでは食事についても十分な配慮がされています。そのため提供される食材については安全性+αが求められます。前回のロンドンオリンピックではイギリス独自のGAP(農業生産工程管理)であるレッドトラクターの認証が求められ、推奨ではありますがオーガニック認証も求められていました。リオではオーガニック認証や環境あるいは社会基準となる認定(例:地球環境保全に協力的だと認定される)を受けた食材、さらに地元産をできるだけ用いているようです。東京オリンピックでの具体的な基準はこれから決まっていくと思いますが、GAPや農場HACCPといった客観的に安全と言える生産方法が重要視されるのではないでしょうか。

オリンピックは、日本独自の食材や日本の本当の味を、オリンピック選手だけでなく各国のサポーター、布いては全世界に向けて伝えるまたとない機会になります。B-1グランプリとは規模が違いますが、提供された料理の中で評判になったものはその後の展開も楽しみです。

(個人的には愛知の味噌系料理が広まってほしいと思っています、味は濃いです)

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JASVブログ第246回

 JASVブログの読者の皆様こんにちは。イデアス・スワインクリニックの早川です。
お盆が明けたら急に秋らしくなってしまいました。スーパーには解凍ではない「生」サンマが新モノの価格でパックに仰々しく入って売られ始めましたし、田んぼでは連続して発生している台風の合間をぬって必死に稲刈り作業が行われています。そんな金色の圃場の合間には青々とした背丈の大きな稲の葉が茂っている圃場がだいぶ見受けられるようになりました。そう、飼料米の圃場です。収穫時期が異なるそうで、まだ穂らしきものが見えません。この時期に青々とした田んぼは一種異様で、初めはどっきりしてしまいました。これからはもっと、この時期に青く茂る田んぼが増えてくるのだろうなあと思って見ています。

 例年、稲刈りが始まる時期は、夏の続きのつもりで窓を開けっぱなしにして寝た朝に、のどがヒリヒリと痛むのが気になりだします。のどの弱い娘たちに至っては咳まで出てきます。この、毎年ある時期になると起こる家族ののどの異変に、稲刈りという農作業と関連があるのではと、この辺の湿度の変化と稲刈りの開始時期を調べたことがありました。旭市の稲刈りはお盆明け直後からですが、まさしくこの時期湿度が低下するのを発見し、豚の肺炎が秋口に増えるのも関係があるのだろうと一人で納得したことがあります。それくらい、この地域は田んぼが多いのです。
 空気中の湿度が周辺の田んぼの作業と連動しているのは、稲刈りの時期の乾燥だけではありません。逆のパターンが田植えの時期です。田んぼという田んぼに一斉に水が張られ、夜になるとカエルの大合唱が聞こえる時期、空気中の湿度は稲刈り時期の反対でぐっと上がります。まだ気温はあまり高くない時期ですが、実は湿度はしっかり変化していて、やはり豚の疾病も動きやすい時期と重なります。

 もともと初夏、秋口は大気の状態が冬から夏へ、夏から冬へと変化する時期ではあります。特に私のいる地域は海からの湿った南風、北からの(特に冬は)乾燥した北風にさらされ、気温と湿度の変化は季節によって大きな差があります。ある程度規模のある地方都市では、気象データのログが気象庁のウェブにアップされています。それに基づいていくつかの都市で季節ごとに温度、湿度の変化をグラフ化してみると、場所によってかなり特徴的なパターンが描き出されます。ちなみに、私の地元に一番近い銚子気象台のデータによりますと、この地域の温度・湿度の年間を通じた変化は両者が一緒に変化する傾向がどの地域よりも強く、また両者の最高値と最低値の落差も比較的大きいことがわかりました。千葉県北東部というと一見温暖な地域ですが、実は空気の質の変化には十分な注意が必要で、スマートフォンやインターネットを利用した温度・湿度・風向きの予測をリアルタイムで頭に入れながら管理することの重要性を感じています。

 このように、自分の農場が存在する地域の気象的特徴に加えて、周辺状況(田んぼが多いところなら田植え・稲刈りの時期など)の通年のパターンを頭に入れておくと、疾病の動きに先回りして対策できてくる気がします。とはいえ、いつ発生するかわからない台風やゲリラ豪雨など、どんな経験則も塵の如く吹き飛ばしてくれるのが自然ではあります。今年はすでに台風9号の直撃を我が農場もくらい、2棟ほど青空豚舎になってしまいました。もうこれ以上は荒ぶる神が上空を通りませんようにと祈るばかりです・・・。



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JASVブログ第245回

皆さまこんにちは。

㈱バリューファーム・コンサルティングの大久保光晴です。

お盆も過ぎ、暑さも和らぐかと思いきや、気象庁の季節予報によるとまだまだ暑い日が続きそうです。暑さ寒さも彼岸までとも言いますが、皆さんくれぐれもご自愛ください。


今回は水について話したいと思います。豚の管理では餌・水・空気(環境)をしっかり豚に提供しなければいけません。皆さんご存知とは思いますが、水は動物にとって不可欠で、栄養失調症よりも脱水症の方がより致命的です。

皆さんの農場では、給水器の水量の目標はどのくらいでしょうか。

30kgまでの豚では600~700ml/分、肥育豚や母豚では1ℓ/分が最低限必要と考えていますが、離乳直後の子豚ではさらに給水皿を設け、1日に数回の給水を実施している農場もあります。

離乳直後の子豚では、体内の水分割合が高く水の要求量が多いので、殆んどの場合、離乳舎に移動しますから、母豚もいない新しい環境での給水は特に重要です。

体内の水分量は、生時直後では約80%、その後成長ともに60%程度に落ち着いてきます(出荷豚の体内水分については諸説あり)。


また給水器の管理をするに当たっては、水圧も重要です。

ところで現在、日本付近に3つの台風がありますが、990ヘクトパスカル(hPa)前後の中心気圧です。豚舎に設置している水圧計の単位は、大抵メガパスカル(MPa)と思いますが、共に圧力の単位であり、1MPa=1000hPa=1,000,000Paとなります。

0.1~0.15MPaの水圧をお勧めしていますが、現場ではそれ以上のことが良くあります。

では、例えば0.1MPaってどんなもの?と言いますと、10mの高さから1cm四方の床に1kgの水を落した力で、実はかなり強い力です。


水の管理は非常に重要で、今回は給水器について触れました。

この機会に皆さんの現場でも今一度、水に関する確認をしてみては如何でしょうか。

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JASVブログ第244回

こんにちは。サミットベテリナリーサービスの数野由布子です。


初回からあっという間の2回目のブログ更新となりました。

暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?


今回は730日に終了した弊社実施の新人研修についてお話ししたいと思います。

弊社では毎年5月から養豚1年生である新入社員の方に向けた研修を全3回にわたり行っており、私も新人のみなさんと一緒に講義に参加しました。


内容は繁殖、分娩、離乳、肥育の管理方法、病気の概要、豚肉消費の動向、農場HACCPの基礎についてなど多岐に渡ります。

講義後には受講生の方々からたくさんの質問が寄せられました。あげられた質問を少し紹介します。


・早産と流産の違いは? 

・他の国では薬はどれくらい使う?

・なぜ臀部に注射は打たないほうがよい?

・飼料価格と枝肉価格に差がでるのはなぜ?

・初産豚の子豚で下痢が多いのはなぜ?

・ペレット・マッシュ・クランブルの違いは?

・離乳時に去勢するデメリットは?

・再発情はどうやって判断する?

・分娩1か月前の母豚に増し餌をして母豚は太らないのか?


質問はシンプルでありながらも、私自身も考えさせられ、勉強となる瞬間がたくさんありました。


最終回であった730日はメーカーの方々も一緒になり、BBQにて打ち上げをしました。

始球式ならぬ、始刀式を我らが石川先生が行ったスイカ割りは大変盛り上がりました!

BBQの際には勉強会中では聞けなかった受講生のみなさんの豚への思いを聞き、とても刺激的な1日でした。


㈲サミットベテリナリーサービス

数野由布子


(一発でスイカに命中した石川先生の一振り!)

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JASVブログ第243回

みなさんこんにちは!()サミットベテリナリーサービスの渡部 佑悟です!


今年は例年に無い暑さが予想されておりますが、みなさん夏場対策は完了したでしょうか?

一般的な夏場対策としてはファンの設定やクーリングパッドの点検、ドリップクーラーの点検などか挙げられますが、これらの点検はお済みでしょうか?今回はこれらの対策を含めた、分娩舎での夏場の母豚管理について述べたいと思います。

分娩舎の母豚の適正温度は1820℃程度が適切とされていますが、夏場の室内温度はこれ以上になることが多いと思います。環境温度が高いときは母豚にヒートストレスがかかります。

ヒートストレスが母豚に与える影響としては、食下量の減少や、離乳時ボディコンディションの悪化による離乳後発情回帰の遅延、受胎率の低下、それに伴う哺乳子豚の発育不良、そして熱中症による死亡などが挙げられます。さらにヒートストレスを交配時に受けた母豚は産子数が減少する傾向があり、その肉豚が出荷される時期になると出荷頭数の減少にもつながります。

経験上環境温度が26℃以上になると母豚は極端に暑がり、食下量が減少する傾向があるので、環境温度が26℃になる前にファンやクーリングパッドが最大限稼働するように設定しましょう。ヒートストレス対策として、上述したようなドリップクーラーや、スポットクーラーの設置で対応されている農場も多いと思いますが、母豚には10㎝/秒以上の風を全身に当ててあげることが効果的です。特に母豚の頭側に風が流れるように、風の流れを作ると良いでしょう。母豚に風を当てることで、環境温度が下がらなくても、体感温度を下げることができます。

また、母豚に送風する時に風が哺乳子豚に当たらないように注意してください。哺乳子豚に風が強く当たると下痢などの疾病を発症する危険が高まります。そのため哺乳子豚には風を避けることができる構造(例えば保温箱など)を用意しておくと、哺乳子豚を風から守ることができます。

実際の農場では大型ファンで風を流す他、ウィンドレス豚舎であれば入気側の風の向きを調節すると良いでしょう。このように、母豚へのヒートストレスを最小化することによって、1年を通じて安定した生産を維持できるようにしましょう。


()サミットベテリナリーサービス


渡部 佑悟

posted by JASV at 19:06Comment(0)日記

JASVブログ第242回

 こんにちは、あかばね動物クリニックの水上です。

 毎年言っているような気がしますが、今年も暑いですね。国内は空梅雨のようで、夏本番になってからの断水が心配になります。世界を見渡せば、気温が50℃を超えて死人が出ているところがあるようです。怖いもの見たさですが、一度どのような場所か行ってみたいですね。


 酷暑は辛いですが、暑くなければ始まらない!というものもあります。

 まずはビアガーデン。夏限定で開催されるところが多く、屋外でビールが楽しめます。暑い夜、そんな時こそビールを飲んで気分爽快!ただ都会にしかないのが玉に瑕です。

 続いてBBQ。山や河原など自然の中で肉を焼く!それだけで普段食べる肉より何倍もおいしく感じるという素敵なイベント。アメリカでは一家に1種類BBQソースがあるほど、BBQ文化が浸透しています。日本でもBBQの新しい資材が発売されていて、少しずつBBQが認知されてきています。子供たちよりも子供の気持ちを持った大人が楽しんでいるような気がします。

 最後に夏祭り。浴衣や甚平、屋台や花火に祭囃子。祭りの気分というものは替えがたいものですね。ここで養豚場ならではの夏祭りとの関わりをご紹介します。

 夏祭りの風習は場所や規模によって異なると思います。神輿が出る、手筒花火を打ち上げる、盆踊りがある。こちらの地域の村の夏祭りでは「もち投げ」があります。そのもち投げは、ただもちを投げるだけではありません。もちに番号がついていて、その番号の景品がもらえます。その景品の一つが豚肉です。近くの養豚場が協賛となって毎年提供しています。本当の地元で育った豚を食べてもらうというまたとない食育の機会、そして良い意味で養豚場を認知してもらう機会です。

一般の方が養豚場と関わる機会はあまりないと思います。積極的に地域とのつながりを作っていくスタイル、これからも続けていってほしいと思っています。

posted by JASV at 21:38Comment(0)日記